たまに誤解されているのかな?と思うことがあるのですが、私たち商業デザイナーの多くは、全く何も無いところから神がかり的な閃きによって何かを作り出す、と言うことはほとんど無いと言うのが実情だと思います。
もちろん、ごくまれに自分でもビックリするくらいの閃きが降りてきて、嬉しくなるような仕事が出来ることはあります。しかしほとんどの場合はどちらかと言えば論理的に、消費者の心理を分析的にとらえ、そして考え方のガイドラインに沿ってステップバイステップで物を作っていく、という仕事の仕方がほとんどでは無いでしょうか?私の場合はそうすることで一定レベル以上に仕事の品質を保っていられると考えています。
と言うわけで、基本的な考え方さえ身につければ、誰でもある程度「外さないデザイン」は作ることが出来る、というように私は考えております。その「外さないデザイン」を必要とする人が誰もが作れる、そうなれば結果的に「デザイン」という行為に対する見方もより違ったレベルになるのではないでしょうか?そうなればきっと全体として「デザイン」のレベルが上がるのでは無いでしょうか?そんな未来に少しでも貢献できればと思い、微力ながら記事を書いていこうと思います。
ところで私が自分の仕事としての「デザイン」について説明する時、よくプレゼントを例として使います。大切な誰かの笑顔が見たくて、どうしたら喜んでもらえるのか?そんな気持ちでプレゼントを贈ったことは、きっと誰もが一度は経験していることでしょう。プレゼントと言う日常の中に良くある行為を「大切な人を笑顔にする」という目的に向かって確実に効果を高める為に極めて学術的にとらえ様々な方法を模索する、それが私にとっての「デザイン」だと思い日々の業務に取り組んで参りました。
そんな私がデザインを行う上で一番のキーワードとしている言葉があります。それは「演出」という言葉です。例えば先ほどのプレゼントに関して言えば、「贈るもの」が決まったら次に「贈る相手が喜んでくれるのはどんなラッピングなのか?」「どんなシチュエーションで、どんなタイミングで贈ったら喜んでくれるのか?」そんな『演出』を考えたこと有りませんか?
お客様からご依頼を頂いた商品やサービスに対して、例えば「高級感」あるいは「かわいらしさ」や「普通っぽさ」と言ったようにグラフィックであれば使う画像や書体を選んで、プロダクトであれば素材や形などを工夫することで演出していくのが、私たち商業デザイナーの仕事だと思っております。
そんなわけで、私は芸術家になるつもりは無く、デザイナーと言う職業を選んだわけで、結果として「芸術」として評価されたとすればそれはそれで嬉しいのですが、それよりも「おかげで売上が上がったよ!」と言われる方が嬉しいのです。
チョット話が脱線してしまいましたが、デザインという行為は私にとってはプレゼントを贈る前のワクワクドキドキする、そんな楽しい時間だったりもするのです。
こんな風にデザインという行為が特別な物では無く「誰でも自然にやってるよね?」と思ってもらえると私としてはとても嬉しいですね♫
当然のことながら私たちプロフェッショナルには、対価を頂く上で十分な長い時間をかけて磨き続けてきたスキルがモチロンある、そこはご理解頂きたいところですけどね。